同じ理由で

2019/07/20

こころがざらついた日は、料理につきる。
生に直結したアウトプットは、よけいな枝葉をはらうよう。
喜も怒も哀楽も、優先度のひくいオプションなのかな…とか反芻しながら根野菜の水をきる。

洗濯機がピーと言ったので、ベランダに居をうつす。
今年こそは失敗しないと、一昨年の種でまた、バジルを植えた。
なんとかふっくらしてきた双葉を確認、去年のK点は越えたぞふぅ。
じぶんもまだ双葉だったころ、こたつで寝たふりしてたら毛布が降ってきたものだ。
そのまま芝居をつづけていると、竜の背中に乗って天までのぼり、綿雲に包まれていた。
土をかぶったままのバジルの葉。お前はいま、種だったころの夢を見ているのか。

…、ちょっと気がゆるみ、また脳を忙しくする。
生と死はきっと同義だな。
夏目漱石『こころ』での奥さんのフレーズがずっと残っている。
『それと同(おん)なじ理屈で』
プライドに喰われて反論したって、反論がしたかっただけなんだと、相手の態度できゅんとなる。

キッチンにもどる。
案の定焦げ目がついている。
扇風機にあたって粗熱をとる、おかずをチラと見る。