歩こう。

2022/04/17

いちげんな店で食事をとっていると、もちろんカウンターだ、店員さんとの話になる。
「はじめてですよね、なにかでご覧になったのですか?」
これよく訊かれる。

かたや温泉街の店ではだれもが異邦人だ
(地元民や従業員がいく店は別にあったりする)。
どちらから、とは訊かれても、どちらのご紹介で、とは、ならない。

わたしのうまれた頃からクチコミはあったし、旅行雑誌はあった。
わたしだって鉄道に乗るときはスペックや路線図を舐めまわすものだ。
その一方で、食べてみないとわからない、異国の大衆料理に見返り美人を強いられる(手は口もとに)。

休日なんてとくに、自我の荷ほどきをしてあげたいのに、床につく、いちにちの暮れに、
ああ今日はこんなだったな…という日記のなかみが、書くまえからきまってるのは寧ろたいくつだ。

あらゆる道やたてものが色数をふやしてくれたころ。
わくわくしたりひやひやしたり、そんなときみたいに、もっとしっかり、破線をなぞろう。
歩こう。車もいいし飛行機でもいいが、いちばんのろまな方法で、町の輪郭をとらえていこう。

もっといえばほふく前進やでんぐり返り、なんてのもあるが、そんなこという奴は先生キライだ。