Untitled

2022/07/23

信号まち。
日陰をゆずりあって、知らないもの同士がちいさな話をする。
結局ふたりとも納まっているから、慣れない記念写真みたく硬くなっている。
陰なのに、木漏れ日が差したみたくやわらかい。

どうだ、世界。
まだまだ人類は、
こんなに距離を縮められるんだぞ。

長すぎる愛着のおあずけに、
味の記憶はうすれてゆくから、
よけいに探してしまう。
たしかに昔、おなじ料理をつついた。
肩をたたきあって笑った。

口と口をつけるのが口づけの由来だ
と知った君は、顔をゆがめた。