としおちゃん

2018/12/16

宴会シーズン。
お金もとぶが記憶もとぶ。
しかし先日は記憶しかとばなかった。
タダ呑みではない。お金が『増えて』いた。

宴会の翌日のこと。こわごわ財布をあけると、お金がある。
ある…どころではない。きっかり2倍になっている。
脱ぎちらかした革ジャンをひろいあげる。
どうやら返り血はついていないみたいだ。

あつめた会費を着服したとか、
レジに手をいれたとか、
いろいろ考えたけどわからない。

警察にとどけるか?
でも「拾ったんですけどぉ」て財布から金をだすなんて奇天烈だ。
そもそも拾ったかどうかの記憶もない。

指から出血…ギターは弾いたようだ。
が、いや呑んで歌えたためしがない。

コホン。
さすがにおばちゃん待たせてるので、お会計をした。
取り出したその万券は上下でふたつに折られ、となりの札にテープ留めされていた。

何かとものいりな年の瀬の候、
ちょっとでも有る気になろうとした、
数時間前の自分に泣けた。
工作員はここにもいた。