食在厨房

2019/04/14

菜の花の写真をとった。
待ち受けにした。
のぞき込んだ花好きのひとが、息を吐くように言った。

「おいしそう…」

いちめんのなのはな。
いちめんのなのはな。
いちめんのなのはな、のおひたし。
いちめんのなのはなのおひたしに和える、醤油の大豆をそだてる農家のクシャミでまわした風車でおこした電気でともすLEDの灯り。

神様のありがたいはなしを天井のたかい部屋でききながら、
きみは今夜のおかずをかんがえている。
ぼくは股間の収まりを、気にしている。
ここだ。この認識のちがい。
君のおいしそうなものをうつくしいと言って、枯れおちるまで愛でる自分のおろかさ。
この峠を越えれば、戦争もきっとなくなる。
醤油を持って、女神は待っている。
ふたりは外へ出た。青白いちいさな光が、地球のうらでまたたくのを見た。

ただし厳密にはそのひと、
『おひしそふ』のニュアンスで言った。