Author Archives いとう優歌

Untitled

2019/07/07
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コナン君の小学校は、モラル教育がゆきとどいているんだろうな、とおもう。
だってあんな、毎日が参観日みたいな格好のクラスメイトがいたら、
自分ならぜったいいじりまくるもの。

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食在厨房

2019/04/14
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菜の花の写真をとった。
待ち受けにした。
のぞき込んだ花好きのひとが、息を吐くように言った。

「おいしそう…」

いちめんのなのはな。
いちめんのなのはな。
いちめんのなのはな、のおひたし。
いちめんのなのはなのおひたしに和える、醤油の大豆をそだてる農家のクシャミでまわした風車でおこした電気でともすLEDの灯り。

神様のありがたいはなしを天井のたかい部屋でききながら、
きみは今夜のおかずをかんがえている。
ぼくは股間の収まりを、気にしている。
ここだ。この認識のちがい。
君のおいしそうなものをうつくしいと言って、枯れおちるまで愛でる自分のおろかさ。
この峠を越えれば、戦争もきっとなくなる。
醤油を持って、女神は待っている。
ふたりは外へ出た。青白いちいさな光が、地球のうらでまたたくのを見た。

ただし厳密にはそのひと、
『おひしそふ』のニュアンスで言った。

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携帯臨終

2019/04/11
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「携帯だけど、どうやら今夜がヤマだ。
ああもしもし俺だけど。ちょうどいま、親族でからだを拭いているんだ。
いや、もう水没の心配もいらないからって医者が。
うんわかってる、終わってから来れるか?
えっ、この電話はどうやって…、って?

…ふふふ。

…ふふふふふ。

…新機種だよ。」

ふるい携帯をなおしながら、だましだまし使っている。
部品とりの同機種は4つ。
すげられてかえられて、もはやお前なのかさえ、自信がない。
それがついに、充電できなくなった。

10年ほどまえ、展示の機会をいただいた。
ノートPCの穴という穴にデバイスを挿しまくり、線という線で見えなくなったほどの筐体に、
『おじいちゃん』とキャプションした。

食べものをうけつけなくなった祖父は親族にかこまれて、そっと往生した。
小学生だった自分は看取りの経験もなく、照れと恐れで所在なく、
促されてやっと声をかけ、触れ、すぐに輪をぬけた。

目の前の公園の桜の花の、花弁の舞うのを眺めてすこしだけ、呑んでいる。
ポッケのなかの携帯は、未明のうちに散るだろう。

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「ライフワークで(地縛霊)やってまぁ〜す♪」

2019/04/03
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深夜の散歩みち。いまはじめて気付いた。
ここ私有地だ。

数年まえに住宅地ができるまで、もっと公道ぽかった。
いまにしても、家々をつなぐメインストリートがつい、私を貫かせてきた。
もちろん自分がわるいんですが…。

明日からはよけて歩く…つもりだが、
おそるべし習慣のちからに、どこまで抗えるだろうか。
いつも左に話しかけてしまう。
誰もいないのに、くしゃみのあと、おどけてしまう。

厚意が好意になり恋になり、愛になり相になり、それがおわって霊になった。
住宅地でなくひとつのでっかい住宅でも、入って出る覚悟だったのに。
そこにドアや窓がなくても、突きやぶるつもりだったのに。

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嘘の方言

2019/02/27
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まちなかで警察装備の展示をやっていた。
制服の試着、白バイの試乗、おまわりさんと交流…市民のこころわしづかみ。

パトカーにも乗れるそうで、特注のトヨタクラウン、「どうですか?」と運転席を勧められる。
予定があったのだが、普通にことわればいいものを、「何度か乗ってるんで(後部に)」と言ってしまう。

そのとき、まちじゅうがピリッ、とした。
ゆうしゃは「ほうべん」のまほうをおぼえた。

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Lie

2019/02/15
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そういや小学生のとき、
『鶏肉をたべたことのないひとは鳥肌がたたない』
っていう言いつたえがあったな。

あれ、いまにして思うに、きっとうそだな。

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まいど馬鹿馬鹿しい話をちょこっと

2019/02/14
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世がダークブラウンに浮かれる今日、2/14。
父からメールがきた。

掃除をした、綺麗になった。
といって画像を送ってきた。
髪型かえた〜くらいの気軽さで送ってきた。
きっと父なりのインスタ的活動なのであろう。

大便ルームの孤独感に耐えかねたせいで、画像をみてしまった。
お墓だった。
私の父は、バレンタインに、墓石を磨いて、その画像を息子とシェアする、インスタ風じじいだった。

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月や月 ニットかぶせる 川面かな

2019/02/14
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先月のこと。
月がきれいだったので散歩をしていた。
のちのちきくところに超月(スーパームーン)だったとのこと。
つきなみに、月のなかに兎をさがす。

きっと…あれが耳だな。
あれが二のうで、あれが爪、あれは袖口であれは襟。
秋もののトレンチをまとう月兎、2018AWのしろい紳士だ。

ハンドメイドのわくわく感で満たされて帰宅、どうやら帽子なくした。
もうあうことないんだろうな…っていう人からいただいたもの。
いただきものだから、ということよりも、
いただいたってこと忘れれてたくらい馴染んでいたのだ。ひどく動揺した。

ミニマル、断捨離、といえばもはや落葉めいているかもだが、
ちょうどここのところ、50シルク以上ある帽子を友人に配布していたところだった。
めがねは(鼻メガネ含めて)20ボーンくらい。
洋服もまあいわずもがなで、ある梅雨時期、高価なジャケットがカビていた。
自分のキャパをこえているな、とこと切れた。
パイプの折れそうなクローゼットには風のすきまなどなく、
そのくせぶ厚いハンガーが、なによりスパイシーだった。

えいや、と意を決した。売ってほって売って、そしてほって。
時間はかかったが、かかった衣類はなくなった。
排水溝の落葉をはらったように、血が水が、ながれはじめた。
脳内でグレーがかったビフォアのクローゼットを、他人のコレクションのように一覧し、呼吸をひとつ。
もちろん正解はないが、じぶんにとってはいまが最高だ。
人生なんていつもそうだ。らったった。

そして今日。帽子が見つかったらしい。
落ちが弱い。じぶんの人生いつもそうだ。あまたの布と決別し再生したつもりで、すっかり忘れていた。
おなじ理由で取りにいかないでいる。でも遺失物係のクローゼットはどうなる。
かなしみはそうだ。いつもだれかの栄養を欲している。うぅむ。

あした、東署、行こう。

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